メニューはお店の縮図

前回説明したように、洋服屋さんにはVMDというものがある。これは、お店からの無言のメッセージになっていて、皆さんが商品を購入する手助けをしてくれる。衝動買いなどもこのVMDによる効果が大きい。

飲食店にあるメニュー表にも同じような考えが詰まっている。

何を食べるのかを迷ったり、最初に食べようと決めていたものとは別のものを注文した経験もあるのではないだろうか。これは、メニュー表による効果が大きい。

メニュー表は、どんな料理をいくらで提供しているのかということだけではなく、それ以外のお店側が発信したい情報も具体的に載っている。お客様にとってお店の詳細に触れられるものであり、その両者を繋げるコミュニケーションツールになっている。


五感を使う

メニュー表には、手に取っただけで五感を刺激するような要素が沢山ある。

子供向けのメニュー表は色合いがカラフルで見ているだけで楽しい気分になれるような作りになっている。高級感があるお店では、飾りすぎないシンプルなデザインで落ち着いた雰囲気を醸し出し、肉料理を専門に扱っているお店ならワインレッドや赤などの色をメインに使い、肉料理や赤ワインを連想させ視覚に訴ている。


メニュー表に触れば触覚を使い、そのお店を感じることが出来る。おしゃれなカフェであればクロス生地で落ち着いた風合い、高級で客単価も高いお店では、ブックカバーがついた重厚感があるメニュー表、大学生などがメインで訪れるお店ならば、あえて庶民的なラミネート加工などメインの客層やお店の雰囲気毎に異なっていてメニュー表を触るだけでもそのお店の世界観を感じることが出来る。


メニュー表の中身に目を向けても五感を刺激する情報を感じ取ることが出来る。

鮮やかな彩りの料理を載せ「たっぷり野菜や山盛りお肉」といったように視覚に訴えるもの「温かい、もちもち」など温度や触覚を表すもの「香り豊か、風味豊か」など嗅覚や「カラッと揚げた」などのように聴覚にアピールするものもある。

このように写真だけではなく、言葉を使い五感に訴えかける工夫をしている。


また、店内にはもう1つのメニュー表がある。それは壁に貼られたポスターである。季節ごとにお店側が積極的に売りたいもの、おすすめの商品などが載っている。

使われている色は夏であれば青などの寒色系、冬であれば赤、オレンジなどの暖色系といったように、その時期に応じた色が使われている。その為、涼しさや暖かさなど温度感、季節感を感じることが出来る仕組みである。

メニュー表を見るだけで、自然の流れ、季節感を感じることが出来る。


自然の流れ

メニュー表は心理的なものであったり自然の流れに沿って商品が記載されている。

料理の値段を見ると料理の価格が高い物から安いものという順番で載っているお店を多く見かける。

これは、人は先に強い刺激を受けていると、次にやってくる刺激に対して鈍くなるコントラストの原理と呼ばれるものが使われている。脳は価格を見ると痛みを感じる部位が活性化するので、安い方から見ていくと脳は痛みを増やしていく。しかし、高い方から見ていくと最初に受けた強い痛みが減っていき、どんどん痛みが和らいでいくというものである。


また、メニューはサラダなどの前菜から始まりスープ、メインディッシュ、デザートと食べる順番に記載されてい

これは洋服屋さんも同じで、特にファストファッションのお店では店内に入り壁を見ると上から帽子、アウター(あるいはトップス)、パンツ、靴の順番になっている。

1番上に靴をディスプレイしているお店は、ほぼないはずである。頭に被るものは上、足に履くものは下というように自然の流れになっている。アクセサリー売場でもピアスは顔の位置、指輪、ブレスレットは手のあたり靴下は足の位置といったようにもなっているはずである。

また、セール時期にはアイテム毎に商品を陳列しその並びは赤、黄色、緑、青、紫と色相環の色の流れになっていたりもする。こうすることで、お客様がストレスなく商品を選び購入できるようになっている。


価格以上のものを提供してくれる

お店側は常に変化している。新しいメニュー、新しい商品を使い、見せ方を変え、新鮮さを出しお客様を刺激し飽きさせない工夫をしたお店作りをしている。そこに来る人に新しい発見を提供してくれている。

その中で、メニュー表は細かいところまで作り込まれ、お客様を刺激するような様々な工夫が施され、価格以上のものを提供してくれるのではないだろうか。お店のコンセプトの縮図であり、お店とお客様を繋ぐ重要なコミュニケーションツールなのである。

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