国によるお店作りの違い

お隣韓国と日本のお店、実は大きな違いがある。

消費者は成熟し物が溢れる時代を迎え、個人のファッション、ライフスタイルは多様化した。そんな環境に合わせるように店舗の在り方も多様化し、独特の世界観を持つお店が誕生している。

昨年、日本に初上陸した韓国のブランド「STYLENANDA」は、日本ブランドとは異なる世界観を持ち、そこに訪れる人を魅了しているいる。

洋服のデザインはもちろん店内の見せ方に特徴があり、一歩足を踏み入れば、スタッフ、洋服、雑貨はもちろんのこと、音楽や香り、壁、床、階段に至るまで、その全てでお店のコンセプトを体現していると言える。

このように、店舗が持つ物の見せ方や雰囲気の違いは、それぞれの国の文化的背景、考え方の違いが大きく関係している。

韓国は、日本の隣に位置する国だが、そこには明確な違いがある。それを知り、いつもとは違った目線でお店に訪れてみると何か新しい発見があるかもしれない。


原宿の竹下通りにオープンした「STYLENANDA」やコスメ専門店「ETUDE HOUSE」は、ピンクなどの明るくカラフルな色を基調とし、訪れた人が、はっとなるような色使いで、可愛らしく印象的なお店になっている。

そこに置いてある商品はもちろんハンガーや什器、壁、階段、そして、アパレルの商品は、もはや買うためではなく見せる為に使われ、そこにある全てでお店の世界観を表現している。

その雰囲気に魅了されるため、他のお店の方が安く同じような洋服やコスメが置いてあるとしても、ここで買い物をしたいと思う人が多いのではないだろうか。

お店の作りやスタッフの服装、何をとっても他のブランドと差別化されていて、独自の世界観を感じることができ、買いたくなってしまう環境がここにはある。付加価値がここにはある。

店内で使われている色、洋服自体を見ていても日本より派手な色使いが多いので、韓国のブランドと知らずに入っても日本ブランドの店舗との違いを実感することが出来る。

このような店舗の作りは、文化的背景、それに伴うファッションの考え方の違いからきている部分が大きい。

韓国には、黄、青、白、赤、黒の五色で構成された「五方色」と緑・オレンジ・水色・茶色・紫の五色の「五方間色」というものがあり、これが韓国の伝統色となっていて、王宮やお寺などの歴史的建造物や工芸品、代表的な料理であるビビンバにも使われている。

そして、伝統衣服である韓服から装飾品、化粧までもこの派手な色が使われ、幼い頃から日々、明るい伝統色に親しんでいる為、韓国の人は原色の目立つ服を好む傾向にあり、その考えがこのような世界観のあるお店を作り、日本にある店舗との差別化を図っている。

では、日本の店舗はどうであろうか。

海外では無駄な隙間なく商品が陳列されているお店が多いが、日本ではあえて商品を置かないネガティブスペースを作ることで、他の商品を際立たせてみたり、素材の微妙な変化を楽しむような組み合わせをしているコーディネートを見ることが出来る。細かいところまで目が行き届き、非常に繊細に作り込まれている印象である。

中でも1番特徴的なのが、マネキンのコーディネートやディスプレイ。

重ね着・レイヤードといった着こなしが多く見られ、その配色が優れている。

海外からの観光客を見るとTシャツにジーンズというシンプルな服が多いが、日本人は重ね着が多く、その質が高い。これは、長年培われた着物文化をバックグランドとした、色使いや素材の重ね着、日本独特の高いファッション文化の現れである。

着物には、「重の色目」と呼ばれる四季折々の自然の植物や風物の色合いなどを巧みに取り入れ、春夏秋冬に応じた配色、四季を通じて使われる配色があり、日本人は、四季折々の草花や風景からとった配色、つまり、自然の色彩を好み、四季の移り変わりや自然のつながりと一緒に生きてきた。

この考えが、今日の重ね着の文化を作っているのである。

そして、外の空気と一緒に育ち、四季の移り変わりを真近に感じられる環境があったからこそ、五感で感じられる店舗が日本にはある。

代表的なものが、京都にあるスターバックスコーヒー。築100年以上の日本家屋を使用し、庭石や木々の緑と共に伝統的な庭の眺め、庭から入る光などの四季を感じ、その空間を楽しむことができ、季節毎に違う表情を楽しむことが出来る。

販売している商品以上の価値がそこにはあり、外の景色も含めてお店の1つとなっている。


日本と韓国を見ただけでも、それぞれの売場の良さがあり、独自の世界観を持ったお店を作っていることが分かる。

韓国では蛍光色のような鮮やかな色が使われていて見ているだけで楽しく、一瞬で引き込まれるような世界観がある。

一方日本は、真っ赤、真っ青などの蛍光色は比較的少なく、白、黒、紺、ベージュなどナチュラルな色など日本人の控えめといった性格、微妙な色の違いで素材の変化を楽しむようなコーディネートなど繊細な考えが売場に反映され、細かいところまで作り込まれた売場が多い。お店に入ってからスタッフが丁寧な対応をしてくれるのも日本の独自性の1つであろう。

物が溢れ、社会は成熟しているからこそ、ただものを買うだけではお客様は満足しない。

その為、お店側は色々な仕掛け、工夫をしている。店内に足を踏み入れれば、そこでしか体験できない世界観がある。

心を満たしてくれるような付加価値がリアル店舗にはあるのである。

0コメント

  • 1000 / 1000